巡る季節と受け継がれるモノ《中編》


計画は至ってシンプルだった。
免許なんて、原付すら取れない中学生自分。。。
僕らの移動手段はもっぱら自転車(チャリ)だった。
初めてチャリに乗れた時には
『これで世界中どこでも行ける!!』
なんて、思ったものだ。
実際、行こうと思えば行けないことは無い。
しかし、大人になってしまった現在。。。
もっと便利な交通手段を知ってしまったので、わざわざ疲れるコトをしなくなってしまった。。。
とにかく、当時はチャリが僕らの唯一のアシだったのだ。
『まずは、目的の自販機に行ってみよう!そこから後は、流れで・・・』
計画はコレだけだった。。。


隣町、其の自販機の町まではチャリだと(中学生の足で)約1時間半はかかる。
途中、気が遠くなるような一本道や頂上の見える気がしてこないクネクネ曲がった坂道、
養豚場の臭いでチンタラ走ってられない田舎道、困難は無数にあった。
しかし、中学生の性欲たるや、軽くそんな困難を凌駕してしまうものだ。
途中、休憩を入れつつもわずか1時間足らずで僕らは目的の自販機に到着できていた。
僕らの精鋭部隊はボク含め、5人で構成されていた。。。
各々、所持金に多少の違いはあれど、無駄射ちはできない!
狙った獲物を一発で仕留めなければならない!いくつかあるターゲットから、表に見えている情報だけで
想像を膨らませて、吟味しなければならないのだ。。。
その眼差しは、数学の教科書には向けたこともない様な熱視線だった。
しかし、ココでも問題が起こった!!
多くはないが、車が通るではないか!そのような自販機だ。
交通量の多い大通りには置いておけない。若干の小路にはなっているのだが、地元民には格好の抜け道として
利用されている、と後々知ることになる。。。
車が通る度に、通行人Aを装う。
察知しおくれたヤツは、キョロキョロと探し物は無い、ナニカを探す人Bを装う。
はたからから見れば、あまりにも滑稽な姿である。
そこに其れがあることを知っている地元民からしたら、おそらく、いや確実にバレている。
しかし、僕らは至って真剣だった。ナニカを装いながらも、片方の目は確実に目的のモノへの距離を計っていた。
一発目にいったヤツは、漫画調のモノを購入した。今でいう、ロリ系。
少女的な絵とキラキラ瞳のパターンのヤツだ。
迅速にお金を投入、取り出し口に到着するかしないかくらいの速さで、利き手を突っ込み、モノを奪取。
《MISSION COMPLETE!!!》先陣を切ったヤツは、見事に先鋒の役目をクリアーした。
そこからイイ流れは続いた。
次鋒、中堅、副将、、とスムーズに課せられた試練をこなしていった。。
ボクが最後だった。原因は分かっている。元々優柔不断気質のボクは、中々其のモノを決め切れなかったのだ。
まして、出発前から決めていた取り決めがあった。
『購入したモノは、皆で共有しよう!』
つまり、その後の貸し借りを前提とした取り決めである。
要するに、、、他者とカブってはならない!!のである。
そのルールもボクを大将戦にまでもつれこませた要因の一つだった。
しかし、いつまでも眺めてるだけではいけない。いい加減、通行人Aにも限界がある。
バレてはないと思いつつも、自分達でも違和感を隠せなくなってくるものだ。
満を持して、ボクはスタートした!
狙いは決まった!目的のモノ目指して一直線だ!!
『・・・っ!!!!』
なんと、ここで思いもよらぬアクシデントが発生した!!!



つづく

 

>>「第6話 巡る季節と受け継がれるモノ《前編》」

>>「第8話 巡る季節と受け継がれるモノ《後編》」

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