巡る季節と受け継がれるモノ《後編》


ボクが、意を決して其の自販機へたどり着くか否かの刹那・・・
なんと、、、本物の通行人が現れたのだ!!!
距離にして、推定100メートル前方。
推定年齢、60歳前後。
老婆にも見えるその出で立ちからは、地元民の風貌しか漂ってこない。
昔は、知らない大人から挨拶される、叱咤激励されることなどあたり前田のクラッカー。。。
この状況は、確実に声を掛けられる!
さらに、年老いても性別は女性だ。中学生の背伸びに応援はしてくれないだろう。
ボクは焦った。
しかし、まだ距離はある。しかも隣町からきた僕らの顔は絶対に知るはずもない。
ましてや、覚えられたトコロで何の支障もきたさないはずだ。
今すぐにコトを済まして、何食わぬ顔で其処から立ち去ればいいだけだ。
(大丈夫!エモノは決まっている!!落ち着け!!!)
自分に言い聞かせた。
(下から3段目の左側。。。下から3段目の左側。。。。)
思うように、お金が入っていかない。頼むよ夏目さん!!(この頃まだ夏目漱石)
(良しっ!入ったっ!!)
気持ちが逸る、心がせく!!!
(早く!早くっ!!!)
ボク以外の4人も同じ気持ちだったであろう。


『あっ・・・』
ガコ、ガタンッ。
まさかの・・・押し違いだ・・・
ボクが押してしまったのは、下から3段目の左側でなく・・・
下から2段目の左側。。。
無情にも其の自販機は当然のように、押されたボタン通りのモノを吐き出した。
《ローレ〇ス》
およそ中学生には似つかわしくない、全てのページが濃い、北〇の拳並みの劇画タッチ、アダルト漫画。
衝撃+落胆よりも、差し迫る大人の動向が気になり、僕らは足早にその場を立ち去った。。。


・・・後日、言わずもがなであるが・・・
ボクの「ローレ〇ス」だけ貸し借りの場に登場するコトはなかった。。。


つづく
 

>>「第7話 巡る季節と受け継がれるモノ《中編》」

>>「第9話 兄貴のモノは兄貴のモノ《前編》」

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